地方医師のアイデンティティ

人を属性で語るのは偏見だ。

全くもってその通りで褒められたことでは無いが、

属性ごとに性格や行動、価値観に同じような傾向があるのも事実な気がする。

 

地方医大に入学した頃、県外出身の私は

出身高校をすごく気にされるのが不思議でならなかった。

(私の出身校なんて誰も知らないので話も盛り上がりようがないし)

新しい人と知り合えばどこ高校の何期生か、誰と同級か、何部で誰と知り合いかといった話を、

大学生に限らず50,60代のおじさん達もよくしている。

どうやら地方では出身高校がどこか、というのは経歴の中でとても大切なことらしく、

中には高校浪人する人すらいるらしいという噂も聞いたことがある。

 

知り合いには医療関係者が多いので、必然的に地域トップ校出身者が多いが、

彼らには基本的な揺るがない自己肯定感や自信がある、と思うことがよくある。

あるいは、自分が軽く扱われるなんて微塵も思っていなかったり、

大切にされることに慣れている人が多いなと日々感じる。

開業医の子息が相当数いるのも影響しているとは思うが、

自分が駄目なわけがない、と心の底から思っている感じがする。

羨ましい限りだ。

 

生まれてからずっと同じ県で住み続けている地方医師は多く、

そもそも世襲開業医もまだまだ多いので、

コミュニティの繋がりが強いし、

いまだに地方で医師であることの社会的価値は大きいし、

彼らの中で我々はエリートであるという価値観が変わりようがないのだろうと思う。

さらに、

今の日本の地方医大は、地域枠と呼ばれる

奨学金を給付する代わりに卒業後は大学の所在県の公立病院や僻地で(大体7-9年間)勤務することを義務付けられるものがどんどん増えていて、

出身県の高校生を囲い込むことに必死で、

より若者が内向きになっているのも影響しているかもしれない。

 

自分より賢い人がごまんといて、

自分など大したことはないと、

幼少期から思うのは、都市圏出身なのも影響しているのだろうか。

はたまた、ただの性格か。

ひとまず彼らとは根本で分かり合えない、ということだけは確実だ。