医師なろう、と
中学生か高校生の頃に気がついたら思っていた。
人の役に立つ仕事で、資格があって、学問としても奥が深そうで、
同じ医療職の中では最も裁量権が大きくやりがいもありそうだし、
医学は医学部以外で勉強できないし、
周りの大人も医者になりたいと言うとみんな喜んで応援してくれた。
凡人にとって医学部受験は大変で、家族に助けられながら
なんとか、現役で地方の公立医学部に入学した。
学力的にも大変だったけれど、それ以上に、
勉強以外のことをしていると不安と浪人の恐怖が襲ってきて、精神的にキツかった。
医学部に入学したときは、やっと受験が終わる、とホッとした。
医学部に入ってからは、
全てが必修科目で一つでも単位を落としたら留年する恐怖
試験前はまた取り憑かれたように机に向かった
(試験以外では研究室に行ったり部活動をしたりもしたので楽しくはあった)
不安を機動力とする勉強の結果、いい成績で卒業した。
医者になって、
何を間違えたか、体育会系の合宿所みたいな研修病院で初期研修を始めた。
初期研修が始まってすぐに、自分は医者に向いてない気がする、と思い始めた。
頼もしい同期に支えられて、なんとか初期研修を乗り越えた。
3年目から、また何を間違えたか、ハードで有名な科の後期研修医になった。
勉強は面白いけれど、輪をかけて、自分は医者に向いていない。早く辞めたい。
と思うようになった。
早く辞めたい。と思い始めて早四年。年齢に見合わない量の白髪が出現している。
そんな、医者の世迷言。