医者が真に夢のある職業であってほしい

高校の同級生で、高3の時に受験勉強のストレスで学校に来られなくなって、

受験も辞めざるを得なかった人がいた。

数年して、その人が医学部に入学したと聞いた時、

私は初期研修医で、超長時間労働の最中にいた。

元気にしていてくれてよかったとは思えたが、

医者になる決断をしたことにに対して、頑張って勉強して合格したことは喜んであげるべきなんだろうけれど

数年後の未来を考えたら100%の気持ちで喜べない、複雑な心境になった。

 

世の中にインフルエンサーというものが登場してきて、

医学生youtuberとかtik-tockerも目にするようになった。

私からすれば大学は違えど後輩みたいな感じなので、

医者になることに期待して一生懸命勉強している姿を画面越しに見ると、

頼むから、幸せになってくれ。

間違ってもブラックな病院で病んだり、自殺したりしないでほしい。

と思う。

(一方で、ほとんど医者の大変なところを経験せずして金儲けばかりうまい医者を見るとそれはそれで複雑な気持ちではあるが)

 

医学部人気が白熱して、それと同時にネットでやっと医学部生活や医師の過酷さが発信されるようになってきた。

親が医療関係者でない一般家庭出身者の18歳が、医学部に入ったら人生がどうなるのか、

具体的に知るためには自発的に情報をとりにいかないといけない。

学校の先生は当然のように医学部に在籍したことはないし、入学後のことはよく知らない。

受動的にしていて医学部のマイナスな情報が入ってくることは多分ない。

 

医学部に入って絶望したり、医者になって絶望して、なのにサンクコストバイアスで抜け出せなくて。

そういう人が残念ながらそれなりにいるし、さらにドロップアウトしたり自殺してしまった人の噂も耳にする。

 

周りの大人に応援されて、一生懸命勉強して、人によっては浪人もして、

夢にみた職業の現実が、うつや死への入り口だなんてあんまりだ。

 

災害医療の大原則として、救護する側の医療者が被災して被救護者にならないこと、

というのがあるのだが、通常の医療でも同じだと思う。

医療者が精神的にも、肉体的にも健康でないと、良い医療を提供することはできないはずだ。

 

医者は医者である前に1人の人間だ。

ロボットだって酷使すれば壊れるんだから、

人間は尚更だ。

 

夢を持って医者になる後輩たちには、幸せな人生を歩んでほしい。

お金や地位名声なんかより、自分で幸せだったな、まあまあ面白い人生だったなと思える人生が一番だ。